このページでは極力簡単な手順でガレージキットを完成させる方法を紹介します。汚れ塗装的な作品に仕上げたいときに、このやり方は向いています。美少女フィギュアなどのように、ツルツルとキレイな完成イメージの作品には向いていません。ご了承ください。
1 パーツチェック
取扱説明書のパーツ数とあってるか確認。
2 洗浄
離型剤という薬品がついているので、落とします。これをやらないと塗っても色が乗らなかったり、剥がれたりします。
小皿に台所用洗剤とクレンザーをと水をちょっといれて混ぜます。使い古しの歯ブラシにそれをつけて、よく泡を立て、パーツをゴシゴシして洗い流し、乾燥させます。
3 仮組みする
ランナー(パーツじゃない所)をニッパーで大雑把に切り取り、本体に食い込まない程度をデザインナイフで削り取る。
(左のパーツは邪魔だったのでダボも一緒に削り落としてしまいました。普通はダボは削らないです。ダボかどうかわからない場合は組んで確認しながら削ってください。)
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パーツを組み立ててみて順番を確認。
(本当はピンバイス(1mmなどのドリル)で金属線(真鍮線とか)を打ったほうがいいです。細くても、無いよりあったほうが良いです。)
*ドリルで開ける穴や真鍮線は結構小さいパーツなら1mm、それ以外のパーツなら2mmなどを使います。断面や太さによってはもっと大きいドリルを使う場合もあります。
もし金属線が打てない場合は両面テープやマスキングテープなどで仮固定して、組み立てを確認する。
出来たらいったん一旦バラす。
4 ランナー、バリや分割線をなくす
表面がツルツルさせたいもの→400番以上のサンドペーパー
表面がザラッとさせたいものや短時間で大きく削りたい時→180番とか240番のサンドペーパー。やってみて、もっと荒いほうがいい場合は80番など。この場合はバリ等だけではなく、全体をザラッとさせたほうがいいかも。
*サンドペーパーは番手が低い方(80番とか)から高い方(400番とか)へと使います。
またサンドペーパーはプラモデルの売っているおもちゃ売り場やホームセンターなどでも売っている場合があります。
タミヤ TAMIYA フィニッシングペーパー P400番 3枚入り
タミヤ TAMIYA フィニッシングペーパー 荒目セット(P180番×2枚、P240番×1枚、P320番×2枚)
*タミヤのサンドペーパーは180番以上しかありません。80番以下はホームセンターで購入できます。
5 気泡を埋める
パーツに気泡(丸っぽい穴やエグレ)がある場合があります。
シアノンDW をちょこっと出して、爪楊枝などを使って気泡に流し込む。その後、瞬着硬化スプレーをシュッと吹いて硬化させた後、サンドペーパーでやする。
気にならないようだったら、やらなくてもいいです。
6 組み立てる
塗装がやりにくくない程度に組み立てて、シアノンDWと瞬着硬化スプレーで接着。わりとすぐガッチリ接着するので、ずれないように気をつける。
目立つ隙間があればシアノンで埋めて、やする。
この時、全部組み立ててない場合は塗ってから、接着すること。
7 プライマーを吹く
ミッチャクロン(プライマー)などを吹くと色乗りが良くなる。サッと吹くだけいい。
ただし隅っこなどはスプレーが届きにくいので、そこからやる。ただしスプレー缶は勢いが強いのでダレやすく注意。汚し塗装ならダレても、まぁ大丈夫。
いわゆる糊なので、あまり手で触らないようにする。これを吹いたらすぐ塗装に入ってOK。
*ミッチャクロンは小さい缶がホームセンターで売っている場合があります。
8 塗装する
ここで紹介する塗料は2種類。
ラッカー塗料
乾燥が早く、下地を活かした塗りができます(と、思ってる)。私が主に使っている塗料。匂いがきつめ。専用うすめ液で筆も洗浄できる。
今回使ったのは上記の6色+1本+うすめ液。いずれもクレオス。カッコは色番号。
ミドルストーン(21)
ブルーFS15044(326)
グレーFS36081(301)
赤褐色(131)
ホワイト(1)
ブラック(2)
ガンダムマーカーの墨入れブラック極細
(ブラックがあるので筆で描けば、これはなくても良いです。)
クレオス エアブラシ専用うすめ液
(エアブラシ専用とありますが、乾燥を遅くするリターダーが入っている方が筆塗りしやすいのでこれを使います。これで筆やパレットも洗います。)
クレオス Mr.カラー関連
プラモデルのあるおもちゃ売り場などでも売っている場合があります。よく似た瓶でアクリル塗料も隣で売っていることがあるので注意。
タミヤカラーなどのアクリル塗料
匂いが少なく、筆の洗浄も(乾く前なら)水できるのが特徴。ただし溶剤をうすめるのは水ではなく、専用のうすめ液。乾燥もラッカーより遅い。私は使ったことがないです。
*小学校などで使う水彩絵具はおそらく色が乗らない気がするので、おすすめしません。
さてここから具体的な塗装に入ります。使用するのはクレオスのラッカー塗料です。
1.キットを置いていて光が当たりそうなところにミドルストーン(21)を薄めに溶いて塗る。
2.置いていて影になりそうなところにブルーFS15044(326)を薄めに溶いて塗る。
この時ミドルストーンと混じっても別に大丈夫。むしろ少しくらいなら味になる。
*洞穴のように深いモールドがある時はブルーFS15044(326)を普通くらいに溶いて塗った後、ブラック(2)を普通くらいに溶いて塗る。何回かに分けて塗るほうが味が出やすい。
3. ベースカラーにグレーFS36081(301)やや薄めに溶いて塗る。
薄かったら乾かしながら、何回かに分けて塗る。
はじめはまんべんなく塗る。ただしあんまりペタペタこすりつけると下地のミドルストーンやブルーFS15044(326)がとけるので、塗料を筆で置いていくように塗る。深追いしない。
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2~3回塗って色がついたなと思ったら、あえてムラになるように塗る。グレーで暗い色なので、影になりそうな下方面に多めに塗る。
でも上の方もちょこっと塗っておくと、いい感じのムラになる。
*もし「あ、濃すぎた!」というときは指先でちょんちょんと叩いてやると少し取れて、いい感じになりやすい。私は全行程にこれをやってます。
濃度がハードな時はティッシュもあり。ただしティッシュだと取れすぎる傾向になりやすい。
「指はちょっと・・・」という方は拭うものを色々試してみてください。良いのあったら教えてください。
4. モールド(形)のあるところにダレを塗る。
*このテストピースにはモールドがなかったので、ガンダムマーカーの墨入れブラック極細でそれっぽいものを書きました。モールドがなくて寂しいときにはこれもありです。
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赤錆みたいなダレにしたかったので赤褐色(131)をまず薄めに溶いて塗る。あえてムラになるように、何回か塗る。
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その後瓶から出したままくらいの濃い状態の赤褐色を汚れの上の方などの汚れが濃そうな所にちょんちょんと置く。
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ちょんちょん置いた所の下の辺りを、うすめ液だけついた筆先ですこし溶かすように薄める。
5. モールドの窓の下側に少し溶いたホワイト(1)を書き入れる。
6. 濃い状態の赤褐色をホワイトの下に細めに入れる。
7. グレーFS36081(301)を普通ぐらいに溶いてムラを描く。
ホワイトにミドルストーンを少し入れて、アイボリーぐらいの色を作り、薄めに溶いてよく日が当たりそうな所(上の方)に少し塗る。
逆にグレーFS36081(301)にブルーFS15044(326)を少し入れて、青っぽいグレーを作り、薄めに溶いてかなり影になりそうな所(下の方)に少し塗る。
8. 自分のイメージに合わせて、全体を調整して塗装は終わり。
汚しを含めた塗装に関してはこの本がおすすめ。
横山宏Ma.K.モデリングブック
9 クリア塗料でコーティング
つるつるしたかったらクリア光沢、サラッとしたかったらクリアつや消しをふく。
ただし吹くと色が一段濃くなるので、ツルツル系でなければやらなくてもいい。
10 完成!
おつかれさまでした。
以上は私のやり方なので、汚し系の塗装なども他にも色々あります。色々研究してみてください。
もし完成出来たら、原型製作者さんに完成画像など見せたりすると、大変喜びます。
以下にこのページより詳細にガレージキットの制作方法を解説されているサイトがありますので、紹介します。
参考:
yzpハウスさん フィギュア初心者でも分かる!ガレージキットの作り方を徹底解説!!
http://yzphouse.com/garagekit-how-to
りゅんりゅん亭さん 初心者向け制作講座
http://www.ryunryuntei.com/
(左メニューの制作講座から見れます。)
ガンプラ塗装ブログ ガンプラの筆塗り!全塗装からウェザリングまで筆塗りで仕上げるコツ
https://www.orange-channels.com/ganpura-fudenuri-zentoso/
(追記)
上で紹介したやり方でキットを塗装してみました。
一部紹介してない塗料で塗装したので紹介します。
グレーFS636320(307)(でもブラックとホワイトとブルーFS15044(326)を混ぜれば近い色はできます。)
他には上で紹介していない技法ではスポンジチッピングをしました。スポンジに薄めてないままの塗料を付けて、ポンポンと軽くキットの角を叩いてやります。その際、塗料が多すぎるとベタッとついてしまいます。なので適度にかすれた感じするため、紙とかの上でポンポンして調節します。ちなみに色は赤褐色(131)です。
ちょっと廃墟とは違うかもしれませんが、古びた感じにはなったかなと思います。