埠頭
船形鉄棺。
船の形をした棺です。中にはヒトカタの木製人形が入っています。石棺のような重厚な圧迫感をあらわしたかったので厚めの鉄板を使っています。
蓋があるのは中にものを収めたかったからなのですが、実際に展示するにはどちらかしかできないこと(開けっぱなし、閉めっぱなし)に作ってから気が付きました。(蓋の開閉は重いから危険なので)
人形のこと
モノの支えになる棒でしん棒というのがありますが、私はずっと「芯棒」だと思っていたのですが最近「心棒」だということに気が付きました。塑像の中に在るのはなるほど「芯」ではなく「心(こころ)」だったのかと感銘を受けました。
それは心棒が対象に対する自分の抽象的な印象をもっとも単純に形にしたものだということだと私は解釈しました。ですから本当は人形ではなく心棒なのです。
舟のこと
古代の墓のお棺が重いのは墓泥棒対策以外にも二度と生き返らないようにという意味もあったようです。もう戻らないように祈りながら重い蓋をゴトリと落とし、コンクリートのどぶ川に浮かべるのです。
この作品は心棒の葬式なんです。